大腸内視鏡(大腸カメラ)：下部消化管内視鏡

厚生労働省の統計でも大腸がんが増えており、実際に当院でも60歳以上の方だけでなく、30歳〜40歳台と若くても内視鏡で大腸がんが見つかる方がいます。

会社や市の検診で広く行われている便潜血検査。本当に大腸がんを早期段階で見つけるための検査でしょうか？

便潜血検査で陽性となるには、大腸がんが出血をきたすほど大きく悪くなる必要があります。女性に多い盲腸や上行結腸など大腸の奥のがんでは、かなり大きくなるまで潜血反応が陽性とならないことも多くあります。

便潜血検査は、簡便で安価にたくさんの人数を検査することができるため検診として普及しました。会社や市町村の大腸がん検診に広く用いられていますが、便潜血検査が陽性であった人の中には進行大腸がんやさらに進んだ手遅れ大腸がんの人がいることを忘れてはいけません。

便潜血検査は、早期がんであろうと進行がんであろうと、大多数の中からがんの可能性が高い人を引っかける検査であり、陽性になった時に早期がんではなく進行癌である可能性がある検査です。そのため内視鏡検査に比べると便潜血検査は確実な早期発見には向いていない検査と言えます。

また大腸がんがある場合でも便潜血検査が陰性となることがあるため注意が必要です。そのため便潜血検査が1年前まで陰性であったとしても、今回の検査で陽性となった時に進行癌で見つかる可能性のある検査です。

盲腸・上行結腸・横行結腸など大腸の奥の部位では、
便がまだ柔らかく固形になっておらず、大腸がんや大腸ポリープの出血や痛みの症状が出ることはまれです。

実際に便潜血検査が陽性のため内視鏡検査を行った時に大腸の奥の進行癌で見つかることがあります。

また便潜血検査が1年前に陰性であったとしても、その1年後には便潜血検査陽性となり、その後の大腸内視鏡検査で進行がんが見つかることも少なくはないのです。

大腸がんは症状の出にくいがんと言われています。血便・便が細い・繰り返す下痢・貧血・腹痛など大腸がんの症状と言われるものもありますが、これらはほとんど進行癌になってから症状が現れます。早期がんでは症状が少ないのが大腸がんです。

また早い時期の大腸がんや大腸ポリープでは便潜血が陽性になることは少ないと言われており、逆に症状が出た段階では、かなり進行した大腸がんで見つかることが多いと言われています。

大腸がんで血便などの症状がでてきた時には、がんが進行しているケースがほとんどです。
症状が出るような手遅れの大腸がんになる前に早期発見することが何よりも大切です。

大腸がんは予防できるがんの一つです。

大腸ポリープから大腸がんに進むことが多いため、大腸がんになる前の大腸ポリープを内視鏡切除することで、負担なく、大腸がんへの進展を防ぐ事ができます。

さらに、ポリープから大腸がんになってしまっていても、大腸がんの腸壁への潜り込みの深さがまだ浅い段階で発見できれば、内視鏡治療でがんを治療することができます。内視鏡治療で根治できれば、外科手術もしなくて済みます。大腸内視鏡検査による早期発見・早期内視鏡治療が大変重要と言えます。

大腸がんの早期発見には、大腸の中をじかに内視鏡で観察するのが何よりも確実で、正しい評価をすることができます。

大腸ポリープや早期の大腸がんで見つけられれば、内視鏡で切除することができるため、
早めに内視鏡検査を一度受けることにより、大腸がんは予防できると言えます。大腸がんが急速に増加している現在、便潜血検査だけで安心しないで、一度正しい精度の高い大腸内視鏡検査をきちんと受けることを強くお勧め致します。

以前の方法の大腸内視鏡は、下剤の量が多くて味がまずく、検査自体もつらいと一般に言われていました。

当院では下剤の量や味も検査を受ける患者さんそれぞれに合わせた工夫をして、苦痛なく大腸内視鏡検査を受けることができるように努めております。

自分のためにもそして大切な家族のためにも、一度大腸内視鏡検査を受けてみられる事を強くお勧め致します。